山幸彦と豊玉姫の出会いの場所(瑠璃山 井戸寺)
綿津見の宮…
南井上の地は昔の井上(ゐのべ)郷の中心に位置し海神の住み給う処でありました。
神代神話にあらわれた山幸彦、海幸彦が釣針の争いから、山幸彦は塩椎翁(航海の神)の教えによって海を渡り釣針を求めて「綿津見の宮」に行かれた。
その地は当時の井上郷、南井上村でありました。
井門(いど)の地名もここから生まれたもので、井門は井戸に転化したものと称されています。
瑠璃山 井戸寺です。
南井上村はほぼ全域が妙照寺の境内であったといいます。
山幸彦は塩椎翁の申す通り海神の宮の門の傍の井の上にある桂の樹上に上られて待って居られると、海神の侍女は器を以て水を汲みに来り、井内の静かな水面を眺めると思い掛けぬ高貴な神様の御姿がうつっている。
この侍女の驚きに対して山幸彦は清水を所望されたので侍女が器に汲んで差上げると、飲給わず、首飾りの玉をといて口中に含まれ器中に落し入れられた。
すると玉が器にくっついて離れなくなったので、侍女は玉のついた器を豊玉姫に差し上げて事情を話した。
不思議に思って外に出た豊玉姫は、山幸彦を見て一目惚れした。父である海神も外に出て、そこにいるのが天孫邇邇芸命(ににぎ)の子の虚空津日高(そらつひこ・山幸彦の尊称)であると言い、すぐに豊玉姫と結婚させた。こうして、海神の元で三年間暮した。
井戸寺境内にある「面影の井戸」は山幸彦と豊玉姫の出会いの場所…
国府町和田に王子神社、新居村西崎に雨降神社それぞれ豊玉姫を祀り、花園諏訪神社は海神を祀る天佐能和氣宮よりの転なりと伝えらるあり、又井戸寺境内に御姿の井戸あり
弘法大師の創建とも伝えらるるも、古事を追慕さるる大師が由緒深き霊井に御姿をうつされ以て俗人共に神代ながらの神聖さ正しさを保てと訓えられたものかも知れない。
山幸彦が桂の木の上に上って姿を写した井戸が「ここ」にあったので「井の上」。
それが「井上」になったとあり、そして、その井戸は今も残っていて井戸寺境内にある「御姿の井戸」が「それ」であります。
おもかげを うつして見れば 井戸の水 むすべば胸の あかや落ちなん…