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阿波の神秘的、不思議、面白い場所を記紀や地域伝承と絡めて紹介します

大日孁命(おおひるめ)の本当の姿は⁈

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天石門別八倉比売神社は阿波国式内社五十座のなかで最もはやく神階を昇った格式高い神社。
 
過去にはちょこちょこと大日孁神(天照大御神卑弥呼)に絡めながら関連記事を書かせて貰ってます。

卑弥呼が眠る神社 (天石門別八倉比賣神社) - awa-otoko’s blog

「伊魔離神」は何の神か?(伊魔離神社) - awa-otoko’s blog

高天原を考える(その3.大日孁命) - awa-otoko’s blog

 

 
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なぜ阿波国そのものを祀る上一宮大粟神社や由緒ある忌部神社がある阿波国の中で、この天石門別八倉比売神社が正一位を朝廷から賜わるほどの崇敬が示されたのでしょうか。
 
私も大日孁神(天照大御神卑弥呼)が祀られているからと単純に考えていましたが、さらに深い秘密が隠されているようなのです
 
そのような天石門別八倉比売神社。簡単に説明をば致しましょう。
 
この神社は鮎喰川下流域で阿波剣山地の入り口にあたり、気延山の東嶺矢野神山(標高一一五m)に鎮座し、社殿裏の古墳を拝むもっと古い神社様式であります。
 
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阿波の式内社の神社名の多くは古事記日本書紀に登場する主要神で、しかもそれが象徴神ではなく実在神として祀られており、裏山が古墳であるのが特徴とされているのです。
 
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また、神社に伝わる「天石門別八倉比売神社御本記」には、大日孁命が天石門を押し開いて天下りし、この時大国主命が鮎喰川の鮎を漁って差し上げ、広濱の神(豊玉比売命)が神衣を献上したと記されています。
 
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その他、猪の印璽と号する印璽の丘の記述もあり大日孁命(天照大御神)と印璽との関連の深さも気になるところです。
 
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さて、古来矢野神山として尊崇された天石門別八倉比売神社には柿本人麻呂をはじめとする歌人の歌が奉納されています。
妻隠もる 「矢野の神山」露しもに にほひそめたり ちらまくをしも  (柿本人麻呂 万葉集
雁鳴きて 寒きあさぎの露霜に 「矢野の神山」 色づきにけり (鎌倉右大臣 新勅撰集
 
「矢野の神山」…
 
矢野神山と一括りに考えると別段気になることはありませんよね。
しかし、私は「矢野」の「神山」と分けて考えてみました。
 
歌の中の「神山」とは名西郡神山町に鎮座する「上一宮大粟神社」を示し、「矢野」とは矢野に鎮座する「天石門別八倉比売神社」を指しているとみました。
 
よって昔の歌人が詠んだ「矢野の神山」とは「矢野に鎮座する上一宮大粟神社の流れをくむ神社(※ 天石門別八倉比売神社のこと)」を指していると考えたのです。
 
「天石門別八倉比売神社」の祭神である「大日孁命(天照大御神卑弥呼)」は役職名であるのは周知の事実。
 
それでは阿波で一番由緒正しい神の神名であり、阿波で最も崇敬されるべき神とは…
 
 

「大宜都比売命(おほげつひめ)」…

 
どうもこの「大宜都比売命」が、何らかの形でこの天石門別八倉比売神社に関係しているようなんです。
 
  • 神山町神領「上一宮大粟神社」は「上ノ宮」
  • 神山町鬼籠野「鬼籠野神社」は「中ノ宮」
  • 入田町「一宮神社」は「下ノ宮」
 
大宜都比売命が神山町から国府町矢野まで降りてきた経緯が現在でもはっきりとわかるのです。
 
また、その他にも「上一宮大粟神社」を「外宮」とし「天石門別八倉神社」を「内宮」として設置し、ひとつの「神宮」が形成されている。という内容も見かけました。(今回は八倉比売神社には大宜都比売命が関連しているテーマなので、これ以上の説明は避けますが...。)
延久二年(一〇七〇)六月二十八日付の太政官符に「天石門別八倉比売神社の神は邦国の大典也」として国司の官幣懈怠を咎める文書が知られている。
 
このように西暦一〇〇〇初頭には阿波の国司は重要さを認識していませんが、遷都された大倭からの流れをくむ朝廷は「天石門別八倉比売神社」の重要さを継承していたという地方との矛盾が記されています。
 
最低でも平安時代末期までは「天石門別八倉比売神社」の重要さが都では認識されていたということですよね。(現地の阿波では薄れていたが。)
 
もうそろそろ近いうちに「天石門別八倉比売神社」の秘密も明らかになりそうな雰囲気です。
 
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こんな内容が書かれた文献が世に出てきはじめていますからね。
読める方は読んでみてください。驚きの内容です。(^^)
 
 
 
おまけ。宮谷古墳
 
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この古墳延喜式内大社 天石門別八倉比売神社の鎮座する矢野神山の麓の舌状丘陵上に位置し県下有数の気延山古墳群の中の盟主的古墳(約50mの前方後円墳)の一つ。
 
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一九八九年に前方部に県下初の三角縁神獣鏡が出土し、また出土した土器は三世紀末から四世紀初頭に比定され、このことから県内最古の古墳と考えられています。
 
三角縁神獣鏡は三面出土しており、全て舶戴鏡とみられ、うち六神四獣鏡一面はほぼ完全な形で出土しています。