awa-otoko’s blog

阿波の神秘的、不思議、面白い場所を記紀や地域伝承と絡めて紹介します

陽中の陰、陰中の陽(高越大権現の謎)

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どうも。そろそろ何かを投稿しないとね… なんて感じで書いています。(苦笑)

今回はちょっと気になった高越大権現に関する古文書の内容から。中身は宗教絡みの小難しいことを書いているのですが、読んでいるうちにいろいろ引っかかる部分がでてきまして…

f:id:awa-otoko:20180213223243j:image(↑ソースはこの古文書な。)

とりあえず普通に読める文ですが現代文に訳してみました。

平城天皇の御宇、大同三年迄は天日鷲命の神社の存在明らかであった。今は明治六年癸酉1618年。これまでは仏法が盛んで弘法大師の如き三世の菩薩が降臨するという伝説があったことで佛の教えに引き込まれること仕方ないことだったのだろう。

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f:id:awa-otoko:20180213225728j:image(高越大権現)
高越山に祀る二座のうち一座を天日鷲命、もう一座は金剛蔵王権現とされている。(またの名を金剛童子)金剛蔵王権現金剛界大日如来の秘密の印にて天にして陽とされ、即ち天は天御中主命の化身にて高皇産霊命。即ち所謂神魯岐命(カムロギ)の御事ことなのである。陰には神魯美尊(カムロミ)の御事である。

陽は天照日大神。陰は月夜見尊(又の御名 健速須佐之男尊)であるが日大神は女躰、月の大神は男躰であることから考えれば日大神は陽中の陰であり、月大神は陰中の陽とされるのである。

f:id:awa-otoko:20180213224558j:image(高越大権現)
蔵王権現大和国葛城山の山上権現と同じとされているが本当は同じではない。葛城山の山上権現とは人王二十八代帝 安閑天皇でなのである。高越の山上に住む僧が言うには金剛蔵王権現と山上権現は同じ神と云うがこれは大きな間違いである。安閑天皇の霊を佛の道に引き込んだのと同じように天日鷲命も佛道の別当社僧に引き込まれたのではなかろうか。よって天日鷲命の御座が存在した地は山崎であって高越山ではないのである。

はい。一見とりとめのないしっくりこない内容なんですがawa-otokoは引っかかる部分がありまして… 

まずはカムロギ•カムロミ。こちら金剛蔵王権現とは陽のイザナギ。その陰をイザナミと指しております。

神漏岐命・神漏美命(カムロギ•カムロミ)
伊耶那岐神(伊邪那岐神)・伊耶那美神(伊邪那美神)のこと。神漏は神の世界から降臨(漏)したと言う意味合い。「岐命」「美命」部分が伊耶那岐・伊耶那美を示す。

そして次に陰陽図の意味からアマテラス:陽とツクヨミスサノオ):陰を祭祀することによって安定を保っていたことを説明したかったのだと推測します。

f:id:awa-otoko:20180213235352p:image(白の中の黒丸が陽中の陰、黒の中の白丸が陰中の陽)

陰陽(特徴)

陰陽互根:
陰があれば陽があり、陽があれば陰があるように、互いが存在することで己が成り立つ考え方。
陰陽制約:
提携律とも言い、陰陽が互いにバランスをとるよう作用する。陰虚すれば陽虚し、陽虚すれば陰虚する。陰実すれば陽実し、陽実すれば陰実する。
陰陽消長:
拮抗律とも言い、リズム変化である。陰陽の量的な変化である。陰虚すれば陽実し、陽虚すれば陰実する。陰実すれば陽虚し、陽実すれば陰虚する。
陰陽転化:
循環律とも言い、陰陽の質的な変化である。陰極まれば、無極を経て陽に転化し、陽極まれば、無極を経て陰に転化する。
陰陽可分:
交錯律とも言い、陰陽それぞれの中に様々な段階の陰陽がある。陰中の陽、陰中の陰、陽中の陰、陽中の陽。

要するに高越山には元来陽である男神 天日鷲命の他にも対である陰の女神も祭祀されていたのではないかということなのです。

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上は以前FBで投稿した古文書ですが、役小角イザナミ神社の側に蔵王権現を勧請したという記録もあります。(イザナミ神社は阿波国にしか存在しませんよ。)

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また高越寺は役小角によって開基されましたが、高越の金剛蔵王権現天日鷲命であって、他国の蔵王権現安閑天皇であると…

これらを統合すれば、イザナギ = ツクヨミスサノオ)= 天日鷲命 ということになります。

さらに陰陽図から天日鷲命を陽とすれば、対の陰が必要。その陰こそがイザナミであり、詳細を書けばイザナミ= アマテラス= 大宜都比売命awa-otoko説ではな。)

陽中の陰、陰中の陽の一つの解釈として天日鷲命大宜都比売命が同腹兄妹であることも含められていると考えます。イザナギイザナミの関係、アマテラスとツクヨミの関係も陰陽に当てはまります。)

 

いろいろ考え方はあるでしょうが、awa-otokoは高越山のイザナミこそ大宜都比売命だと考えています。という訳で、このお話の結論は長くなりそうなのでまたの機会にしたいと思います。

それにしても古文書末文の天日鷲命の御座が存在した地は山崎であって高越山ではないのである。」が一番の謎なんだよな…。(・・?)