awa-otoko’s blog

阿波の神秘的、不思議、面白い場所を記紀や地域伝承と絡めて紹介します

六人の天日鷲命

久しぶりの投稿です。やっぱり文字入力するのが面倒で面倒で。。。(笑笑笑 )

さて前回の続き?(でもないけれど)忌部神について書いていきます。阿波国の他にも伊勢国安房国・関東一円に分布し御鎮座された神 天日鷲命。なかなか実体が掴めない神だと思いませんか。その謎が解けない理由の一つに天日鷲命という御神名にトラップが隠されていたようなのです。

f:id:awa-otoko:20161105174216j:image阿波国早雲家 忌部系図)

麻植郡川田村早雲系図、即ち阿波国忌部家の系図の初発は天日鷲命と記されています。そしてその後に天日鷲命の御名が初代を含めて六代続けて記入されているのです。

即ち天日鷲命とは初発より継承された御神名なのです。

神代からの伝承は時代の移り変わりを経て、六人の天日鷲命は一人の神として認識されつつあります。当然、二代目天日鷲命からは別の神名も持ち併せておりまして、別の神として様々な記録が残されています。これを調査することによって、より詳細な歴史の推移が浮き出てくるのは明らか。今回確認した資料には「天日鷲命次下其裔孫代の人命は三河国 青木氏に伝わる系図にあり」と記され、その御名も記入されています。早速確認して頂きましょう。

三河国 青木氏系図
天日鷲命】-【大麻彦命(天日鷲命)】-【阿波之宇志彦命(天日鷲翔矢命)】-【天日鷲翔矢命(?)】-【建男命(天日鷲建男命)】-【由布彦命(天日鷲毘古命)】- 由布奴佐別命 -小麻別命-…

f:id:awa-otoko:20161105190307j:image(一応ソースは掲載しておきまふ。ふふふ。)

阿波国早雲系図の天日鷲命六代に符合させているようです。大麻彦命の傍には天日鷲命と補足が記され、以下の阿波之宇志彦命の傍には天日鷲翔矢命、建男命の傍には天日鷲建男命、由布毘古命の傍は天日鷲毘古命とあるそうです。(上記系図の()部分)

安房国に伝わる忌部系図
天日鷲命】-【大麻彦命】-【由布津主命】-【討多々主命】…

安房国に住んだ由布津主命は、別の御名を【阿和気彦命】といい、これは【阿波(あわ)気彦命】、または【阿 別(わけ)彦命】とも考えられます。阿波国から安房国へ移動したのがこの神であったことが推測できるのではないでしょうか。
よって関東一円に分布した天日鷲命については初代天日鷲命以下の神裔が一括りに天日鷲命とされている可能性が高いと考えます。もちろん初代天日鷲命を祭祀していた場所もあるでしょう。もう六人の天日鷲命が入り乱れて全貌は解明できない規模で拡散されているようです。。。(こちらは別の研究者に任せてawa-otokoは阿波国を追求したいと思いますw)

話を三河国 青木氏系図に戻します。

安房国忌部系図や伊勢国国造伝承等を含めて考えるとますます罠に嵌りそうなので敢えて阿波忌部系図と関連性が多い三河国忌部系図で考えていきます。

f:id:awa-otoko:20161105190648j:image

f:id:awa-otoko:20161105190721j:image(宇志比古神社)

お気づきの方もいるのでしょうが系図の中に【阿波之宇志彦命】とあります。こちらの神は紛れもなく阿波の延喜式内社である板野郡鎮座「宇志比古神社」の御祭神でしょう。大麻彦命の後継者にあたる神です。現在の阿波国一宮である大麻比古神社の近くに鎮座する宇志比古神社の位置も考慮すれば、系図との関連性も掴めやすいのではないでしょうか。

 f:id:awa-otoko:20161105191145j:image(宇志比古神社)

そして阿波の宇志(大人:うし)ですから、もちろん阿波(粟)国造家とも関連は大アリです。阿波之宇志彦命が岐神であると云う内容も… (こちらはまたいずれ書きます。)

また今回使用した資料には阿波之宇志彦命と由布津主命は兄弟」とあります。由布津主命は先に記したように阿和気彦命の別名があり、また【天富命】という御神名である。」ともあります。これで概要は理解できたのではないでしょうか。

 

まとめ。

天日鷲命天太玉命と同神。

天日鷲命大麻彦命、阿波之宇志比古命は阿波国を拠点としていた。(天日鷲命三代まで阿波国・四代からは安房国

天日鷲命麻植郡大麻彦命は板野郡を治めた。阿波之宇志比古命は粟国造家の系譜と関係が深く、粟国(神山町神領一宮町)を往き来していた可能性が高い。(岐神:猿田彦… ふふふ。)

・由布津主命は兄の阿波之宇志彦命に阿波を譲り、安房国に渡って天富命となった。阿波忌部を別けて安房国に移動したことから阿和気彦命と呼ばれた。

 

今回はここまで。天日鷲命の系譜 阿波忌部はまだまだ隠された秘密がありそうですよ。お楽しみに。