雨乞いの宮(東みよし町足代 龍王神社、美濃田の渕)
この神社の雨乞いは必ず雨が降ったと伝えられております。
この地方には式内社「弥都波能売神社」が鎮座しておりました。しかし現在はその所在地が明確になっておりません。
美濃田の渕の真北に鎮座している竜王神社は、美濃田の渕も含めて水神を祀る神社で間違いないでしょう。
個人的には「弥都波能売神社」に近い神社、もしくは。。。
この地には水にまつわる神(神社)の伝承残されておりますが、その一つ伝承である「竜王神社と美濃田の渕」をご紹介致します。
昔は日照りが続くと集落の民一同がこの竜王宮に集まり、鐘と太鼓を打ち鳴らし、二夜三日(にやさんにち)をかけて雨乞いをしたと伝わる。
雨が降らない場合は村をあげて七日七夜(なのかなよさ)のおこもりをし、それでも降らない場合はこの宮に古より伝わる最終手段があった。
それは古老が竜王宮の御神体を木綿の白布に包み、美濃田の渕にお連れする。そしてその渕に新しい縄で結んだ御神体を投げ込むのである。
ここ美濃田の渕には奇岩、霊岩が存在し、その中でも和霊釜という碧く水を満ち満ちとたたえた渕があった。日頃は人を寄せ付けない霊域であるが、その霊域に竜王宮の御神体を浸けて神威にすがるのである。
御神体がおもむろに沈んでいく最中、周囲では平伏した村人たちの悲壮な祈りが続く。
こうすることで雨は必ず降り、農作物の枯死や飲料水不足が解消し、多くの先人の命を救ったのである。
この竜王宮には毎年四月二十四日に各戸から一人づつ集まり、うどんを供えて祝っているそうです。村人はこの神を「おりゅうはん」と呼んで崇めています。
また、傍らには神宮寺もあったそうですが、現在は規模的に縮小されて周囲の住民だけが管理しているような状況です。
境内には巨松があったそうですが伐採されてしまったそうです。伐採した巨大な松からは一つの枝で径三尺の臼をとることができたと伝えております。
次は美濃田の渕について。
また、この美濃田の渕は頻繁に水位が増加して氾濫したそうです。
昔から奇岩、霊岩の間に畳三畳分ほどの渦をつくり、岩を削っていたことから荒ぶる水の神 竜神が宿っていると考えられていたようです。
そのような神域であった美濃田の渕も今に至っては周辺を整備されており、吉野川オアシスから簡単にアクセスすることができます。
近くにお寄りの際はぜひどうぞ。