awa-otoko’s blog

阿波の神秘的、不思議、面白い場所を記紀や地域伝承と絡めて紹介します

素戔嗚命の歯(初臼山不動院)

 

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爾に須賀の地に到り坐して詔りたまはく、「吾此地に来て、我が御心すがすがし」とのりたまひて、その地に宮を作りて坐しき。故、その地をば今に須賀と云ふ。玆の大神初めて須賀の宮を作りたまひし時、その地より雲高く騰りき。

 

 神山町の須賀山から峰続きの西に初臼山はあります。
この初臼山の山頂付近には不動院が昔より鎮座しており、多くのご利益を得られたと九字切りが描かれた柄杓が大量に奉納されております。
 
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なぜ柄杓を奉納するのか… 
 
ここ初臼山 不動院には須賀山から湧き水を引き込んでいることから参拝者は名水を汲むことが可能。
この名水を柄杓で飲み、不動尊に祈願すればたちまち難病も回復するというご利益があるからだそうです。
 
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本当にそうですか…… 
 
実はこの初臼山 不動院は本来は素戔嗚命を祀っており、初臼山の「臼」の字は形から歯を暗示しているそうです。
そして奉納された柄杓自体も歯を暗示しているのではないでしょうか。
 
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祭祀の始まりは「素戔嗚命の歯」を御神体として祀ったこと予想され、この地に須賀の宮を造営した素戔嗚命の伝承と一致するのであります。
 
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そもそもこの神山の地は神通川からの増水が鮎喰川に流れこみ、往古より川の氾濫に悩まされてきました。
このことから治水を行った素戔嗚命が時代の流れにより不動尊に置き換えられていったと考えます。
 
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不動院の境内は建物の背後にある二基の塚を中心として建設されています。
塚は平家の落人のものと伝承されていますが、よく見ると古いタイプの円墳(に見える)。
葬祭者が素戔嗚命ではないにしても、この規模から往時の有力者であると推定します。新しい時代の平家の落人はこの古墳の片隅に葬られたのでは…
 
掘ってみないとわからないことですが、今後の調査が楽しみな場所であります。