awa-otoko’s blog

阿波の神秘的、不思議、面白い場所を記紀や地域伝承と絡めて紹介します

水軍 河野氏の里 「火山寺(樋山地)」と焼山寺

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麻植郡 鴨島町樋山地は標高二五〇〜四〇〇㍍の高所に飛島のように忽然と開かれていた集落であります。多い時は約三十戸〜二百戸もあって栄えていたようですが、現在は廃集落となっています。(地主は時々来ているようです。)

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さて、この樋山地、このような辺鄙(すいません。。。)な場所の集落として栄えた当初の起りはご存知でしょうか。どうやら伊予国 河野一族が開拓しながら拡げたようなのです。

河野氏 - Wikipedia

南北朝時代に阿波細川氏の侵攻と同族の内紛のために戦乱を回避して阿波に入国した伊予国守護職河野氏の一族の一人が当地に落ちて来たと伝承されている。を血で洗う武力闘争に幻滅を感じた河野某は妻子と共に僅かな信用がおける従者を連れ密かに城を出た。どこへ行くともなく城を出たものの、名を知らない者はないほどの家柄である伊予 河野一族。いくら人数が少なくても平地部を無事に通れる筈もなく、必然的に深い山を伝いながは歩けば自然と阿波に入った。辿ってきた道程は山伏に姿を変えた南朝の密者が往来した路であった。
歩き疲れて峠道の祠の前で休んでいると、北方斜面の下方に谷を挟んで馬の鞍のような斜面が目に入った。此時代は兵農分離をしておらず、幸いに従者達はみな農業の経験を持っていたことにより、一行は当地で帰農することになった。
まず取り掛かったのは、山を焼いてその後に野菜や蕎麦の種を蒔く焼畑農業である。(殆ど毎日山を焼いて先住者と揉めたとの伝承もある。)畑ができ、住居も完成すると、まず最初に寺を建立した。それが火山寺(樋山地)と呼ばれたのかはわからないが、飯尾報恩寺の前身であるとことは確かなようである。即成山報恩寺と言われるのは、急いで建立した寺だったのかもしれない。
なんとか一家が生き延びられ、従者共に安住の地を手に入れた河野某は、これは全て従者の努力であったと恩に感じ、従者を「御被用(おひよう)ん」として、河野本家の裏山最高部に神社を建てて祀ったという。

はい。ところどころに「ん?」と考えるポイントはありますが、とりあえず伝承されているうちの一説を紹介しました。awa-otoko的には南北朝時代の入国であれば、遡って田口氏との過去の確執も残っていて難しいと考えました。が、、、冒頭に掲載した樋山地の八幡神社は中世に山岳武士、山伏の安全祈願のために建立とあります。これに依るならば、早い時期に河野一族の入国があったのかもしれません。

f:id:awa-otoko:20170624180431j:image(樋山地 八幡神社

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f:id:awa-otoko:20170624180748j:image(社殿横の石祠)

河野家の阿波入国に関してはもう一説あります。こちらについては樋山地に建つ立派な河野家先祖の碑とともに伝承されている内容でございます。

f:id:awa-otoko:20170624175055j:image(河野家先祖の碑)

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人皇第七代孝霊天皇末葉元伊豫國城主
從五位上越智 河野伊豆守萬五郎通吉 
大通院殿前豆大守天叟長運大禅定門
天正十八年寅三月二十九日逝去

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碑文にある河野萬五郎通吉の子孫が江戸時代に稲田氏を頼って移り住んだという説がそうです。

という訳で中世の名残りを引き継ぐ建造物もあるし、天正からの流れをくむものもあり、はっきり言ってわかりません。(断言できるだけの情報がないです。)

ただ、引用にもある樋山地の地名由来は火山寺(ひやまじ)との伝承もあり、こちらは神山町焼山寺を連想させるものです。

衛門三郎 - Wikipedia

そして焼山寺といえば杖杉庵の衛門三郎伝説。こちらは衛門三郎は伊予河野家の生まれであり、死後も河野家のせがれとして転生するのです。(空海のはからいでね。)たぶん樋山地と焼山寺、そして伊予 河野家はとても関係が深い(と思います!!)。

またその流れをくむ即成山 報恩寺も北麓の鴨島町にあり、南麓の神山町同様に河野姓の方が多く住んでいらっしゃいます。

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f:id:awa-otoko:20170624185712j:image(西麻植八幡神社 境内に鎮座する河野大明神)

神山と鴨島河野氏。そして伊予。ひょっとしてひょっとする◯◯が繋がる?!とりあえず現状は資料不足で出せません。。。まだまだ他にも気になるところが幾つかありますので、もう少し力を入れて河野氏の調査を着手していこうと思っています。

それでは今回はここまで。(・∀・)