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awa-otoko’s blog

阿波の神秘的、不思議、面白い場所を記紀や地域伝承と絡めて紹介します

神の境界線

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阿波忌部族が粟を植えたと伝わる「粟島(善入寺島)」には天日鷲神を祭神とする「浮島宮」と天日鷲命の兄弟神である天津羽命が祭神である「八条宮」が鎮座していました。

八条宮(神社)で祭祀されていた天津羽命とは阿波咩、阿波波神、阿波の神、阿波津比賣命とされる神。即ち「粟」の穀霊・阿波の国魂 大宜都比売命の別名であります。
 
明治44年(1911)吉野川改修のため約500戸、3,000人が粟島より移転、それに伴い大正5年3月粟島村にあった浮島宮は解体、八条神社など5神社が市場町八幡に粟島神社として合祀されているのです。
 
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なぜ阿波の神山を拠点とする大宜都比売命が忌部祭祀色が色濃く残る粟島(善人寺島)で祭祀されていたのでしょうか。天日鷲命の兄弟神として縁故の関係で持ち込まれた可能性は当然考えられます。そして粟島で粟を植えたことも祭祀の起りなのでしょう。
 
その他にも興味深い内容の伝承がこの市場町に残されていますのでご紹介します。
 
武布津神が出雲を平定して天照大神に奉告するため事代主神を道づれにして阿波へ来た。一行は讃岐の志度に上陸して日開谷を過ぎて伊笠山麓付近に来た。その時忌部族は、高天原族等の不意の浸入を咎めてこぜりあいがあったが、やがて忌部族長 天日鷲命は武布津神のために、休憩所を今の香美に建て、事代主神を自分の妹 阿波(あわめ)の館に迎えた。(八幡町史より)
 
この伝承に従って粟島の北側の伊笠山の麓と伊月には事代主神社が。香美には武布津神社、伊笠山と城王山にも武布都神の伝承がちらほら聞かれます。
 
まず事代主命から。
阿波では伊月の事代主神社が有名ですが私が特にクサいなぁと考えているのがここ。阿波市上喜来蛭子に鎮座する事代主神社です。
 
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かなり広い境内。山麓の選択にあることから山城の砦のような雰囲気を感じます。
 
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事代主神社に天照大神宮常夜灯とは?
 
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事代主神社境内に坐す皇后社。現在の祭神は神功皇后ですが事代主(神社)の皇后(社)とくれば…
でもこのエリアの事代主は厳事代主命。積羽八重事代主命より後代の事代主になります。
神功皇后は船中の神として事代主命を祀っていました。これによる繋がりで祭祀されているのかもしれません。阿波咩だったら面白いのですが。
 
 
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武布都神です。写真は香美の武布都神社。
伊笠山や城王山のような厳しい山を越えてきた武布都神がゆっくり休憩するにはうってつけの場所かもしれません。
その他に土成町にも武布都・西宮神社がございます。(東に進んだら混ざったのか?)
 
せしてオマケ。
 
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一説には最古との噂もある市場町の稲荷神社。
ここは倉稲魂でしょう。(若室神ですね)
神山町で祭祀された神が混ざっていると考えるのは私だけでしょうか。
 
はい。勘のいい方は気付いていると思いますが粟島を境に祀られている神の時代背景にはっきりと違いがみられるのです。
 
 
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粟島の北側、阿波市周辺では武布津神と厳事代主神
 
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粟島の南から西にかけての吉野川市天日鷲命祭祀がメインとされ、兄弟神として阿波咩命も。(大宜都比売命)ヒハメも含めてね。
 
 
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ちなみに吉野川市の山を越えた神山町ではご存知、大宜都比売命
 
 
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吉野川市からさらに西(岩津を境にして)はイザナミと鴨事代主(アジシキタカヒコネ)が…
 
 
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そして各々の境界線の狭間には稲荷神がちらほら。加茂の金丸八幡神社の真横にも稲荷がありますし。。。
 
このように川や山を境に部族が存在し、各々の崇拝や独自の伝承を伝えてきました。
今回は境界線とした粟島をテーマで書きましたが別の境界線エリアも探れば面白いものが出てくると思います。また機会があれば書きたいと思います。