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awa-otoko’s blog

阿波の神秘的、不思議、面白い場所を記紀や地域伝承と絡めて紹介します

高天原を考える (その2.天孫降臨)

 
阿波国風土記逸文 アマノモト山】
阿波国風土記ノゴトクハ、ソラヨリフリクダリタル山ノオホキナルハ、阿波国ニフリクダリタルヲ、アマノモト山ト云、ソノ山クダケテ、大和国ニフリツキタルヲ、アマノカグ山トイフトナン申。
 
えー、前回では上の逸文から阿波は倭であり、大和をわかち、高天原は剣山を中心とする嶺、またはその山系一帯を指すことを書きました。

そして記紀神話に記される「天の岩戸」を紹介した訳ですが、今回は「天孫降臨」から照らし合わせながら進めたいと思います。
 
まず初めに穴吹町の尾山にある十二所神社(鏡神社)の内容が含まれている文書です。
美馬郡口山村 白人明神由来記】
 
口山村尾山名
鏡神社 御宝物
一、五百固御統瓊曲玉壱ツ
一、銀輪二つ
    (中略)
 
旧跡
一、高天原  鏡神社より十町余未申に当る此所高天原を略し候由申伝候
一、磐窟  此所天石窟を略所也
一、但し田有右高天原より三町余り辰巳方此所鶺鴒 諾冊(いざなぎ、いざなみ)二尊へ交道を教へし所也
一、陰陽岩  二鳥此石上に立せ給ふ所の引所也則立石二つ御座候
    (中略)
右は先祖より申次来候に付後世へ書残し申者也
  承応三年甲午十一月廿日            宇山左衛門大夫
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鏡神社(現在 十二所神社)は天孫邇邇芸命祭神とする古社。(中世から伊奘冉を祭神として、式内 伊射奈美神社の論社。
(鏡神社は個人の敷地に祀られている小祠の可能性があります。ここでは御神体を十二所神社に納めているため十二所神社としています)
 
天孫を奉祀してきた宇山家の口伝として高天原天照大御神の所有していた五百固御統瓊曲玉(いほつみすまるのまがたま)及び天石屋戸(あまのいわと)が古くから伝えられ、美馬郡穴吹川流域が十二世紀には天孫降臨のコースとして信じられていました。
 
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十二所神社
鎮座地 穴吹町口尾山491
境内地 398坪
主要建物 本殿 幣殿 拝殿
由緒
当国50社の内美馬郡鎮座式内社伊弉那美神社と古老の口碑に有り。
又七種の神宝東北南北に石立、鏡三面あり(徳島県神社明細帳)
大正2年5月15日 尾山神社を合祀
例 祭 10月25日 
宮 司 逸見智明 
棟 札 左記の通りの棟札が十三あり代表的なものを記す 
明和9年(1772)
伊弉諾 伊弉冉 御誕生所 
伊弉諾尊
伊弉冉尊 神社 明和9年
辰6月吉日 
元和元年
奉造立親真大明神
9月11日
現尾山
親真 
鏡神社 伊弉冉尊を祀る元和元年柳川家の傍の古墳を発掘、宝鏡銀輪五百箇御統瓊曲玉焼物四外五色の土剣外12件が出土 十二所神社へ納めた
岡本監輔は名神序領に「蓋し太古の人冉尊ここに出るを記し特にこれを祀り以て追慕の念を寓せし也」 
総代(社頭掲示板より)
 伊奘諾命、伊奘冉命の生誕地であり、五百固御統瓊曲玉も継承されている土地だからこそ、天孫降臨のルートに含めたのでしょう。

 
そして次に天孫降臨の主役である邇邇芸命(ににぎのみこと)」関連の社です。

穴吹町口山字宮内(旧口山村)には「白人神社」が鎮座しています。
以前に別の観点から白人神社をテーマに選びました。

源 為朝伝説は中白人神社から(白人神社、中白人神社、戸白人神社) - awa-otoko’s blog

 

今回はど真ん中から「邇邇芸命(ににぎのみこと)」について進めてみます。

仁安元年(一一六六)の「白人明神由来記」には祭神が「邇邇芸命(ににぎのみこと)」と記されています。
 
そして現在の「白人神社」の前の山から、この神社を遷宮したと記録があり、元の社地は現在 「神明神社」として「邇邇芸命」が祀られ、山の頂部の平らなところには、周囲を石塁で囲み、三ヶ所に石門を設けた五社三門が築かれています。

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五社三門とは磐境(いわさか)と呼ばれる特異な石囲い(南北7㍍、東西22㍍、長方形状に石が積み上げられた)祠で、全国でも珍しい形状です。
石囲いには3つの門と、中に5つの社が祭祀され、御祭神は伊奘冉神、邇邇芸命(ににぎのみこと)、天照大神、豊秋津姫命、崇徳天皇源為朝が祀られています。

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その五社三門は一部では…

邇邇芸命の葬場跡と考えられています。

また、「邇邇芸命」の后神である「木花咲耶姫」も周辺各所に祭祀されており、二柱の皇子である海幸彦、山幸彦の伝承も穴吹町には残されています。
その他、穴吹町の東隣の麻植郡(現 吉野川市)には、天石屋戸の神事に奉仕し、天孫降臨に随従した忌部の諸神(式内 忌部神社、式内 天村雲神伊自波夜比売神社他)が祀られていることも天孫降臨の裏付けとなっているのです。